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断酒資料

断酒・禁酒に役立ちそうな古今東西の名言・格言や、「五戒」への学びを深めるための経典類を集めてみました。古い史料から手入力したものも多数含まれております。ご自由にお使いください。

仏教、仏教者
  • 飲酒を行ってはならぬ。この(不飲酒の)教えを喜ぶ在家者は、他人をして飲ませてもならぬ。他人が酒を飲むのを容認してもならぬ。―これは終(つい)に人を狂酔せしめるものであると知って―。(中村元訳『ブッダのことば』岩波文庫)
  • けだし諸々の愚者は酔のために悪事を行い、また他の人々をして怠惰ならしめ、(悪事を)なさせる。この禍いの起るものとを回避せよ。それは愚人の愛好するところであるが、しかし人を狂酔せしめ迷わせるものである。(中村元訳『ブッダのことば』岩波文庫)
  • 悪をやめ、悪を離れ、飲酒をつつしみ、徳行をゆるがせにしないこと、――これがこよなき幸せである。(『ブッダのことばスッタニパータ』中村元訳)
  • 善生よ、まさに知るべし、飲酒に六の失あり。一つは財を失う。二つは病を生ず。三つには闘争す。四つには悪名を流布す。五つには恚怒して暴を生ず。六つには智慧日に損ず。善生よ、もし彼の長者・長者子飲酒已(や)まざれば、その家産業日日に損減す。(『長阿含経』善生経)
  • 女に溺(おぼ)れ、酒にひたり、賭博に耽(ふけ)り、得るにしたがって得たものをその度ごとに失う人がいる、――これは破滅への門である。(ブッダのことば〈スッタニパータ〉, 中村元訳, 岩波文庫)
  • [ブッダは言われた]酒肉に荒み、財を浪費する女、またはかかる男に、家業の実権を託するならば、これは破滅への門である。(中村元訳『原始経典』筑摩書房)
  • 生き物を殺し、虚言(いつわり)を語り、世間において与えられていないものを取り、他人の妻を犯し、穀酒・果実酒に耽溺(ふけりおぼれ)する人は、この世において自分の根本(ねもと)を掘りくずす人である。(『ブッダのことば−スッタニパータ』中村元訳)
  • つまらぬ快楽を捨てることによって、広大なる楽しみを見ることができるのであるなら、心ある人は広大な楽しみをのぞんで、つまらぬ快楽を捨てよ。(『ブッダの真理のことば感興のことば』中村元訳・岩波文庫)
  • 財なく無一物なのに、酒が飲みたくて、酒場に行って飲む呑んだくれは、水に沈むように負債に沈み、すみやかにおのが家門をほろぼすであろう。(「シンガラーへの教え」中村元訳)
  • 今より已後(いご)、仏を以て師となす者は、草頭より滴る程の酒だも口に入ることを得ず。(四分律)
  • (酒は)諸の善功徳を奪う。愧(はじ)を知る者は飲まず。(龍樹『大智度論』)
  • (酒を飲む者が)まさに瞋(いか)るべからざるに瞋り、まさに笑うべからざるに笑い、まさに哭(な)くべからざるに哭き、まさに打つべからざるに打ち、まさに語るべからざるに語るは、狂人と異なること無し。(龍樹『大智度論』)
  • (酒は)身を益すること甚だ少なく損じる所甚だ多し。この故にまさに飲むべからず。譬(たと)えば美く飲めどもその中に毒を雑うが如し。(龍樹『大智度論』)
  • もし人酒を飲まば則(すなわ)ち不善の門を開く。(『成実論』五戒品)
  • 飲酒は衆生を悩ますための故に罪因となる。もし人、酒を飲むときは、すなわち不善の門を開きて、以てよく定(禅定)、及び諸の善法を損なうこと、衆果を植えて籬(まがき)を作らざるが如し。(成實論)
  • もし仏子、故(ことさら)に酒を飲まんか、しかも酒の過失を生ずること無量なり。(『梵網経』)
  • もし自ら酒器を手にして人に与え、以て酒を飲ましむる者は、五百世のあいだ、手無からん。(梵網経)
  • 酒は不善衆悪の根本なり。もしよく除断すれば、すなわち衆悪を遠ざく。(「涅槃経」)
  • 酒は毒中の毒、地獄中の地獄、病中の大病なり。乃至もし人酒を飲めば、故なくして歓喜し、故なくして瞋(いか)り、故なくして悪を作る。(「正法念経」)
  • 酒に三十六失あり。道を失い、家を破り、身を危うくし、命を喪う。皆ことごとく酒によれり。(「沙弥尼経」)
  • 酒は「毒薬」「毒水」「毒気」「衆失の源」「衆悪の本」であり、賢をそこない、聖を破り、道徳を敗乱し軽毀して、災いを立つる根本なり。(「大愛道比丘尼経」)
  • 饗を絶ち、欲することを棄て、明に訴訟を弁(さだ)めよ。(聖徳太子「十七条の憲法」)※饗=酒食の饗応。
  • (酒を飲む者は)我が同法に非ず。また仏弟子に非ず。(最澄「臨終遺言」)
  • もしくは葷、もしくは酒、門に入らしむることなかれ。たとい調薬の為にもまた用うるべからず。(夢窓国師のことば)
  • 本山及び諸山、およそ黄檗の法属を称する者は概ね葷酒を山門に入れ仏の重戒を破ることを許さず。(隠元禅師のことば)
  • 殊に酒は二百五十戒の中より十戒にすぐり、十戒の中より五戒にすぐりたるその随一なり。(明恵上人)
  • 虫毒はただ一生をほろぼす失あり。酒毒はこれ多生をせむる罪あり。(明恵上人)
  • 念仏勤行の時、酒狂なるべからず。(親鸞聖人)
  • 酒は迷乱起罪の本とて、仏ことさら更に戒めたまう。(潮音禅師, 1628-1695年)
  • 三国の伝記を見るにも、国王大臣の天下国家を滅し、その身を失いしは、この酒を好むゆえなり。(潮音禅師, 1628-1695年)
  • 仏事に僧に酒を呑まするは大悪事なるべし。(潮音禅師, 1628-1695年)
  • 飲むうちにも大酒をすれば云いまじきことを云い、すまじきことをして、喧嘩口論を仕出すことまま多し。財宝を多くついやすは酒に過ぎたるはなし。(潮音禅師, 1628-1695年)
  • およそ院内一衆、童子に至るまで飲酒することを得ざれ。もし酒を飲む者は僧に交るを得ず。(伝教大師、一説には慈覚大師「首稜厳院式」とも〔要確認〕)
  • あらゆる病が酒より起こる。(吉田兼好)
  • (酒を飲めば)うるわしき人もたちまちに狂人となりておこがましく、息災なる人も目の前に大事の病者となりて、前後もしらず倒れふす。祝うべき日などはあさましかりぬべし。(吉田兼好「徒然草」)
  • (酒を飲むと)あくる日まで頭いたく、物くわずによいふし、生を隔てたるようにして、昨日のことおぼえず、公私の大事をかきてわずらいとなる。(吉田兼好「徒然草」)
  • 静かにおもんみれば、それ、人間界の生をうくることは、まことに五戒をたもてる功力によってなり。(蓮如上人「御文章二帖目第七通」)
  • 飲酒家は酒は百薬の長とか、憂いを払う玉箒(たまははき)とか、地上の甘露とか、無限趣味の製造主とか云う、いろいろの美名を付して、自ら慰めて自らそのアルコール毒に酔っているのである。(河口慧海「在家仏教」)
  • 酔わず汚れぬ心こそ 身も清浄に徳も積め 三十六過の酒飲まぬ 教えのいともありがたや 頭脳を痛め子孫をも 害する悪魔の毒薬の 酒も煙草も飲むなよの 戒律(いましめ)たもつ我たもつ。(河口慧海「在家仏教」)
  • 一般に豪飲家は大言壮語する者である。常識外れた誇大妄想的な狂語を平気で発する。これを聞く一般は酔漢の漫語として、好い程に応答えば、彼はいよいよ好い気になって狂語を繰り返すのである。(河口慧海「正真仏教」)
  • 一言以て之を蔽はば、仏教は治心術なり。而して酒は乱心剤なり。されば酒は仏教の敵にして、仏教に酒を禁ずるはその理最も見易し。独り怪む、北部大乗者流の中、淫を断ち肉を禁ずる清僧に在りて、なほ恬として酒を飲む者あるを。(織田得能「暹羅仏教事情」明治24年2月)
  • 飲んだ酒は覚める時節がある。自主自由の無限者は以前よりひどい有限の縄に縛られる。(鈴木大拙の言葉)
  • 仏教の禁酒運動は、その形式において、近世禁酒運動の科学的、組織的なるとは、その面目において異なるものあるが、その個人愛、人類愛の立場よりする誠意真情に到っては、古今一貫、東西一徹といわねばならぬ。(藤原暁三著『仏教と酒〜不飲酒戒史の変遷について〜』)
  • 闘争も、破廉恥も、暴悪も、殺生も、その他いろいろの悪事をかもしなすものは、飲酒によるものでありますからして、夏の禹王は酒を造り初めたる儀狄といふ者を逐(お)い斥(しりぞ)け、ブッダはこれを大いに厳禁あそばされたのであります。(永井竜潤『六波羅蜜多』昭和6年)
  • ブッダの教説のどこを探しても、酒を飲むことを許されたといふことを発見することは出来ないのでありまして、仏教は最も徹底的な禁酒教であります。(高島米峰『人生小観』, 大正15年刊)
  • 酒は、人を殺すもの。人の病を起こすもの。人の命を縮めるもの。身体を崩すも酒。身代を破るも酒。家でも村でも酒が争いの源です。暮らしの妨げ、仕事の邪魔、金の捨て道、博打の入口、人に嫌われ、笑われ、そして憎まれ、行状は悪し、学問は出来ず。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)
  • 歌い、笑い、怒る、喧嘩、打擲、頭痛、下痢、胃病、脳病、後悔、恥、貧乏、借銭、逼迫、夫婦喧嘩、親子勘当、家を売る、悪人、罪人、これが酒の常です。酒飲む人の行く道です。(「改善のすすめ」高石大節, 明治36年)
  • 禁酒はなかなか難しいものです。しかしつらいのは四五ヶ月です。残念でもあり、もの足らぬ様でもある、面白味もない。寂しいけれど、四五ヶ月もすると禁酒の味がそろそろ分かります。節約になります。付き合い酒が無くなります。安心です。清潔です。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)
  • 危ういものは酒です。自身も安心に世を渡り、家内も村内もいつも平和に暮らしたいという望みがあれば、危うい酒は自分も飲まず、人にも飲ませないようにしなくてはなりません。(「改善のすすめ」高石大節, 明治36年)
  • 酒ほど穢(きたな)いものはありません。酒飲む場所は汚れています。酒飲む人は別して穢いものです。色が赤く、息が臭く、管を巻く、嘔吐をします。人の踏む所にさえ寝てしまいます。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)
  • 酒は百薬の長、交際の要具、うさばらし、滋養物、強壮剤、消化を助ける、寒さを防ぐ。酒も飲むべし、登楼もすべし。酒が無くて何のおのれが桜かな。この色々の戯れ言は、みな酒に飲まれた人の言うことです。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)
  • 昔の人は、初め人が酒を飲み、中程は酒が酒を飲み、後には酒が人を飲むと言いました。酒に飲まれた人のことを、酒の中の仙人と申します。零落(おちぶれ)の道を歩む人とも申します。酔狂人です。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)
  • 酒というものは、最初のうちは味方、後では敵となります。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)
  • どうか少しでも早く禁酒して、あの恐ろしい、きたない気違い水と離縁なさるのが、仏法のため、国のため、人のため、自分のため、親のため、兄弟のため、子孫のため、家里のためになるのです。(明治時代の真宗僧侶、高石大節の言葉)

キリスト教、クリスチャン
  • 酒は人をあざける者とし、濃い酒は人を暴れ者とする、これに惑わされる者は知恵が無い。(旧約聖書20:1)
  • 酒はあかく、杯の中にあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見てはならない。これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺す。(旧約聖書23:31-32)
  • レムエルよ、酒を飲むのは、王のすることではない、王のすることではない、濃い酒を求めるのは君たる者のすることではない。彼らは酒を飲んで、おきてを忘れ、すべて悩む者のさばきを曲げる。(旧約聖書31:4-5)
  • 禍害ある者は誰ぞ。憂愁あるものは誰ぞ。争端をなす者は誰ぞ。煩慮あるものは誰ぞ。ゆえなくして傷を受くる者は誰ぞ。赤目ある者は誰ぞ。これすなわち酒に夜を更(ふ)かすもの、行きて混和せる酒を味わう者なり。(旧約聖書「箴言」)
  • 酒に酔うことなかれ。これを為すは放蕩なり。(新約聖書「エフェソの信徒への手紙」)
  • わざわいなるかな、彼らは朝早く起きて濃酒を追い求め、夜が更けるまで酒にその身を焼かれる。(旧約聖書「イザヤ書」)
  • 酒に酔う者は神の国を継ぐことを得ざるなり。(使徒パウロ)
  • 未成年禁煙法は一年、未成年禁酒法は二十三年もかかったのだが、なぜ禁煙法は早くて禁酒法は手間どったか。煙草は貧乏人が売っているのだから反対者が少ない。しかし酒はそういかない。酒屋は金持だから反対者も多く、それも強かった。(未成年禁酒法の父・根本正の言葉)
  • 「欲と色と酒とを敵(かたき)と知るべし」(根本正の言葉/戦前の衆議院議員, 未成年者飲酒禁止法成立の立役者)
  • 踏まれても 根強く忍べ 道芝の やがて花咲く 春をこそ待て(未成年禁酒法成立の立役者、根本正の歌)
  • わが国今日の最大要務は精神的文明を鼓吹するに在り。しかしてこれを鼓吹する最大利器を禁酒事業とす。(未成年禁酒法の立役者、根本正の言葉)
  • よろしく各自相互の生命財産および権利を尊重し、いやしくも他を軽視する事なく、独立自尊の精神を以てすみやかに飮酒の陋習(ろうしゅう)を破り、不景気を脱し盛運を開かんとす。(未成年禁酒法の生みの親、根本正の言葉)
  • 文明は何か刺戟(しげき)を求めて次第に強烈な刺戟物を要求するものでありますが、酒によって刺戟を得んとすることは間違って居ます。酒は間違った刺戟剤であります。酒を飲むことによって生活が低下し、社会改造が遅れる。(「賀川豊彦氏大演説集」大正15年)
  • 男外にて酒飲めば 妻子家にて涙飲む 二世を契りの夫には 禁酒の人を選ぶべし(小塩完次「禁酒の歌」)
  • 三つ子の魂百までも 守り貫く母の愛 膝の上から教えましょう 坊やは酒を飲むなよと(小塩完次「禁酒の歌」)
  • 笑う門には福来たる 酒無き家の楽しさは 人も羨む世の鑑(かがみ) やがて広まる禁酒村 (小塩完次「禁酒の歌」)
  • 福音は禁酒主義でなければならぬ。酒は少々飲んでもよい、飲んで酔いさえしなければよいとか、香を嗅ぐくらいはよいとか、一杯飲んでも踊りさえしなければよいとかいう様ではいけませぬ。(美山貫一の演説, 「禁酒の福音」明治34年刊より)
  • 酒は失望を来すものであります。望むことが来たらず、人間の身に幸福が無くなってしまうのです。(美山貫一の演説, 「禁酒の福音」明治34年刊より)
  • いったん酒という大溝に墜落した者は、一刻も早くその中から這い上り、綺麗サッパリと足を洗い、また、いまだ落ちざる者は、足元の明るい内に危険を避けて、安全の道を踏むようにと、私はくれぐれも勧告するのである。(東京禁酒会の創立者, 安藤太郎の言葉)
  • もし酒がなかったならば、この地球はいかに平和であろう。「慾すでに孕(はら)みて罪を生み、罪すでに成りて死を生む」ということがあるが、酒の慾より犯罪が出来、犯罪より人間の堕落滅亡を来すのである。(留岡幸助「明暗箚記」明治43年)
  • 酒を止めましてから健全で風邪一つひいたことがない。酒を飲むと独り自分の身体のみでない、自分の事業をどんなに損するか知れない。実に酒くらい悪いものはない。酒を飲まないと交際が出来ないとか言うのは愚昧の至りです。(安藤太郎の演説, 「禁酒の福音」明治34年刊より)
  • 犯罪は十に八九と言いたいが、十が十まで酒の仕業に相違ないと存じます。どんな人物でもまさかシラフで監獄に入るような事は致しますまい。そうして見ると、諸君の仇であるから、何卒諸君にはこれから一切狂水(=酒)を振り向いても見ないようになさらなければなりません。(安藤太郎の言葉)
  • 青年男子が学芸まさに成りて、ひとたび社会に乗り出すや、その身辺におしよせ来たる幾多の悪魔は、手を替え品を替えて、彼に誘惑を試むる内、その最も巧妙なる手段と猛烈なる威力を以て、攻撃を加えんとするものは酒魔王である。(東京禁酒会の創立者, 安藤太郎の言葉)
  • 今日においては酩酊の性質を有する酒は一種の毒薬と見なされている。しかるにそれを神前に供するとは何ということであろう。神に対する不敬ではないか。(東京禁酒会の創立者, 安藤太郎の言葉)
  • 禁酒は衛生事業なり。禁酒は慈善事業なり。禁酒は矯風事業なり。禁酒は平和事業なり。(東京禁酒会の創立者, 安藤太郎の言葉)
  • 払うべき憂もなければ玉箒 手にだに触れぬ年の暮れかな(東京禁酒会の創立者, 安藤太郎の短歌)※玉箒=酒のこと。
  • 電車内の醜広告(=酒の広告)を一掃せよ。(安藤太郎の言葉, 東京禁酒会および日本禁酒同盟会の初代会長)
  • 酒類を供するは神に不敬なり。(安藤太郎の言葉, 東京禁酒会および日本禁酒同盟会の初代会長)
  • 今日のこの世の中において、よほどの愚物か無学文盲でなければ、酒は天の美禄であるとか、または百薬の長などということを、まじめに公言する者はもはやあり得まい。(「酒と人」安藤太郎, 明治26年刊)
  • 酒魔がこの『交際』なる奥の手に失敗したその後は、灯台の光りは一層煌々として、『酒は毒なり、一滴も飲むべからず』の一語がその光明の中に明瞭と読まれるようである。(安藤太郎の言葉, 東京禁酒会および日本禁酒同盟会の初代会長)
  • 一旦酒といふ大溝に墜落した者は、一刻も早くその中から這い上り、奇麗サッパリと足を洗い、また未だ落ちざる者は、足元の明るい内に危険を避けて、安全の道を踏むように、くれぐれも勧告するのである。(安藤太郎の言葉, 東京禁酒会および日本禁酒同盟会の初代会長)
  • 酒税の悪税たるは、人生に絶大の禍害を加ふる物品を税源とするの結果、おのずからその製造販売を保護奨励するの傾向を生ずるが故なり。(安藤太郎の言葉, 東京禁酒会および日本禁酒同盟会の初代会長)
  • 一番間違いのない、確実なる禁酒の方法は、宗教上の信念を土台に禁酒することである。(山室軍平「霊魂の救」昭和5)
  • 真の神様を信ずる信仰は、この世の最も確実にして、また永久的なる禁酒の実行力である。(山室軍平「霊魂の救」昭和5年)
  • 酒は人の家庭を破壊し、生命を破壊し、その大望をも、自重心をも破壊して、果てはその霊魂さえも破壊するものである。(山室軍平「禁酒の勧め」明治45年7月)
  • うさ晴らしのために酒を飲むなど言う者もあれど、酒は心配苦労を掻き集める熊手の様なものである。決して憂愁煩悩(うれいなやみ)を打ち消すなどの効力は無い。(山室軍平「禁酒の勧め」明治45年7月)
  • 酒で取り結ぶ交際は、大概その終わりを全うせぬものである。とかくその末が善くない。仲睦まじく交わりたいと思って酌み交わす酒から仲違いを生じ、また取り返しのつかぬ不吉な出来事をひきおこす如き例も少なくない。(山室軍平「禁酒の勧め」明治45年7月)
  • たとひ天長節でも、結婚式でも、またはいかなる祝い、いかなる交際の場にも、盃を手にとってはならぬ。酒を飲まねばつき合えない様な人は、どうせつき合ってもあんまり利益(ため)になる人物ではない。(山室軍平「禁酒の勧め」明治45年7月)
  • 酒を飲んで付けた元気は畢竟「付け元気」である。「空元気」である。決してまさかの場合の用に立つべき真正の勇気というべきものではない。(山室軍平「禁酒の勧め」明治45年7月)
  • 下に名を記するところの札幌農学校の教官並びに学生は、今日以後、薬用としての外、如何なる形式に於ても絶対に阿片、煙草、酒を用いず。博打及び神を汚す誓言を為さざることを厳粛に誓う。(「少年よ大志を抱け」で知られるクラーク博士と学生の禁酒誓約, 博士が学生に呼びかけ自らも署名した)
  • 酒に渇いていたある労働者がアルコールが飲みたさに、自から斧をもってその腕首に切り瘡を付けた。驚いて駈け付けた医者が、その瘡口にアルコールを浸したガーゼで湿布をしてくれた。彼はその血に塗れた湿布のアルコールをチュウチュウ吸いながら言った。“Now I am satisfied”(長尾半平「緑の黒髪」)
  • 酒の性質は、節することを許さない。節酒ができるくらいならば禁酒は何でもない。(長尾半平「悪魔と青年」)
  • 自己が酒の有害なことを覚ったら、断じてこれを他に飲ますべきでない。「己の欲せざる所、これを人に施すことなかれ」である。勝安房(海舟)が断じて訪客に酒を薦めなかったのは、見上げた精神と謂わねばならぬ。(長尾半平「九鉄局長時代のことども」)
  • 米の社交界では、「自分は酒を飲みませぬ」と言えば、必ずそれを強いないが、日本では飲まぬと辞退しても承知せず、手を押え、口を開けさせて、無理やりに酒を注ぎ込もうとする連中がまだ居るのである。(長尾半平「日本は今英国の十七世紀頃」)
  • 酒は根深く人の心の奥に喰い込んで居るから、一度酒のために囚えられてその奴隷となったら、何か非常な衝動に触れない以上はなかなか自由の身となることは出来ない。(長尾半平「日本は今英国の十七世紀頃」)
  • 酒を仇敵の如くに思うのは私一人ではない。少なくとも進歩した考えを持つ人には、いずれも酒害の恐るべきことを知って居る。酒は国家有用の人物を残酷に斃(たお)して居る。(長尾半平「児玉将軍」)
  • 日本では今もなお春夏秋冬の別かちなく、四六時中、酒がなくては夜の明けぬ国と見え、成功すれば祝いの酒、失敗すれば自暴の酒、夏になると暑気はらい、冬の季節は寒さ凌ぎ、舟を浮かべても、山に遊んでも、酒なくて何のおのれが花見の酒、月見の酒、また婚礼から葬式に至るまで、人生ほとんど酒ならざるは無い。(長尾半平「日本の政治家は強度の近視」)
  • 酒はただ家庭を破壊するばかりでなく、社会を破壊するばかりでなく、延いて国家の衰亡を招くに至るのである。(長尾半平「涙と酒」)
  • 酒を禁(や)めるか、酒を飲むか、この二つの決定が向上するか堕落するかの分水嶺であり、天国と地獄の境界である。(長尾半平「涙と酒」)
  • 一面に人間の心身を傷そこなうところの酒類を禁止させようとする運動あれば、その半面には猛烈な勢いをもって、これを飲ませよう、売り広めようとする魔力もある。後者の眼中には、社会がいかに腐敗しようが、惨禍を被ろうが、そのようなことには頓着しないで、自分の懐の温まることと、会社の利益になることばかりを考えているのである。(長尾半平「最後の勝利」)
  • 禁酒は実に人類の大問題である。これはどうしても根本的に解決せねばならぬ世界的の懸案である。(長尾半平「人類の大問題」)
  • ことに仏教の如き教祖釈尊は五戒の中にも飲酒を厳禁してあるにも拘らず、その信徒はいうもさらなり、その僧侶までも破戒を敢えてして「葷酒禁入山門」という石牌をして空しく山門の番をさせて置く現状である。(長尾半平「ゴルディアン・ノット」)
  • 現代の日本人は、酒に対する道義的の観念が薄弱である。酒を飲むことと酒を飲んで乱行することとを、道徳上の罪悪の除外例のように見做して居る。(長尾半平「維新の志士と禁酒」)
  • 貴方お自らは有害と信じて禁酒していられながら、来客には酒を供しなさるのは、自分でお飲みなさる以上の罪悪であります。どうぞ私をお訪ね下さった記念に、今後は一切酒を人様にもお出しなさらぬ様にして下さい。(座古愛子さんの四方文吉氏への言葉, 四方文吉著『欽仰録』昭和12年)
  • 私たちは隣人の肉体を害することによって利益を得てはならない。自分自身の健康を害するものを他人に売って利益を得ることは、はなはだ悪いことだからである。(18世紀の英国の司祭, ジョン・ウェスレーの言葉)
  • 酒は人の魂も肉体も滅ぼす毒薬である。それを製造する業者は善良な人々を殺害しつつある者である。彼らは大勢の人々を、屠殺所に引かれるヒツジのように、地獄に追いやっている。(18世紀の英国の司祭, ジョン・ウェスレーの言葉)
  • 酒を製造し利益を得ることによって酒造業者は何を報酬として得たのであろうか。酒によって焼き尽くされた人々の血だけではないか。(18世紀の英国の司祭, ジョン・ウェスレーの言葉)

イスラム教
  • これ、汝ら、信徒のものよ、酒と賭矢と偶像神と占矢とはいずれも厭うべきこと、シャイターン(悪魔)の業。心して避けよ。(コーラン)
  • シャイターン(悪魔)の狙いは酒や賭矢などで汝らの間に敵と憎悪を煽り立て、アッラーを忘れさせ、礼拝を怠るようにしむけるところにある。汝らきっぱりとやめられぬか。(コーラン)

日本
  • 凡(およ)そ畿内より始め四方の国に及ぶまで、農作の月に当りては早く営田を努めよ。美物と酒とを喫はしむべからず。(大化二年の「禁酒勅令」)
  • 酒を禁じ、屠を断め、高年の徒には勤めて存撫を加へしむべし。(養老6年7月7日の詔勅)
  • 宜しく普く天下に告げて、辛肉酒を断ち、各当国の諸寺に於て読み奉らしむべし。(称徳天皇崩御の直前に出された勅令)
  • 応(まさ)に田夫の魚酒を喫するを禁制すべき事(延暦9年4月16日の「禁酒令」)※時は桓武天皇の御代であり、平安京遷都によって奈良時代の弊風を一掃しようとした時代背景が考えられます。
  • 我は仏法値遇の為に霊場に参詣す。人の費をなすことは是れ仏意にあらず。(源頼朝の言葉)※建久6年上洛して天王寺に詣でた時、大いに歓迎して饗宴を設けようとした地頭に対して言った言葉。
  • 第一武将たる身は酒色を慎むべき事。(楠木正成の父、楠正玄の遺訓)
  • 鎌倉中所々、沽酒を禁制すべきの由、保々の奉行人等に仰せらる。仍(よ)つて鎌倉中所々の民家に於て注する所の酒壺三万七千二百七十四口、又諸国市酒、全分停止すべきの由。(建長4年9月の北条時頼の沽酒禁止令「吾妻鑑」より)
  • 沽酒禁制、殊に其沙汰あり。悉く壺を破却せられ、而して一座一壺之を宥(ゆる)さる。但し他事に用ふべし。造酒の儀あるべからず。若し違犯の事あらば、罪科に処せらるべきの由、固く之を定め下さる。(北条時頼の造酒禁止令, 建長4年10月16日「吾妻鑑」より)
  • 沽酒の事禁制なり。此旨を守り国中に相触れらるべし。若し連犯する者は注申せしむべきの條、仰せに依り執達(しったつ)すること件(くだん)の如し。(北条時宗の沽酒禁止令, 弘安7年6月3日「吾妻鑑」より)
  • 酒魔やまされば、天魔競うべし。(北條政連)
  • 飲酒は諸仏の誡しむる所。先聖の禁する所なり。酒魔やまざれば、天魔競ひ立つ。(酒におぼれ政治を省みない執権・北條貞時に対する北條政連の意見状)
  • 妾生涯の懇望は外になし。唯願くは御一生酒を禁ぜられ給ひて、能く言行動作を慎み玉ひ、国家の四民を深く憐れみ、仁澤を後世まで遍く施し玉はんことを。(陸奥国弘前藩で津軽信政が十六歳で藩主になった時、その母久祥院が我が子に与えた訓辞。信政はその後名君と称えられた)
  • 情欲飲酒に心魂を奪れ、誠を失ふは武道の心懸薄きより、ケ様(かよう)の迷ひを生ずるものなり。(陸奥国弘前藩の中興の英主、江戸時代初期の名君と称えられる津軽信政のことば, 貞享規範録61)
  • 酒は三十歳前後よりはかくべつ、まづはいらぬものなり、養生にならぬのみならず、大に害あるなり。(松平定信)
  • わが交りは飲食を以て興とはせじ。(松平定信の言葉)
  • 家督相続又は嫁娶の時の外には吸物及酒を用ひるを禁ず(松平定信が旗本に対して発した倹約令)
  • 死人を寺に葬る時、その送り来るものに、寺にて酒を勧むるは大なる僻事(ひがごと)なり。元来寺へは門内へ酒を入るべからず。この大いなる憂の時、何の楽ありてか酒を用んや。(徳川光圀の言葉, 「西山公随筆」より)
  • 酒に酔ふべからず人の悪を探して罵るべからず差出かましき行為のあるまじき事饒舌すべからず人の話は静に聴くべき事道友相互の誓約は必ず守るべき。(江戸時代後期の農政学者, 農民指導者、大原幽学の言葉)
  • トロリとして喉にグビリとする其儘の魂生生也、凝て締り無く、募て乱心す。(江戸時代後期の農政学者, 農民指導者、大原幽学の言葉)
  • 建国創業の君に大酒と云ふ者決して無し、亡国の主に下戸と云ふ者決して無し。武士は庶民の規標ゆへ一番に改め、富国強兵の基を開くべし。(江戸時代後期の経済学者, 正司考祺の言葉)
  • 酒飲に於ては一回之を嗜めば、終身止ず、天下の英傑ならざれば、ハタと改むると云ふ事なし。(江戸時代後期の経済学者, 正司考祺の言葉)
  • 窃盗、淫慾、賭博、欺訴、口論並びに殴撃、乱位次、敷蒲団、飲酒並びに喫煙(三浦梅園が四十四歳の時に定めた「禁制」)
  • 酒のまず銭を使わず外に出ず 十に九つ悪人は無し(広瀬淡窓作「いろは歌」)
  • 酒と色二つの敵を防ぎかね 落城するぞ憐れなりける(広瀬淡窓作「いろは歌」)
  • されど飲酒の人、節を知らず、あくまで飲み、狂走喧嘩などして、あたかも狂人にことならず。小にしては病を醸し、大にしては礼を失う。(三浦梅園の言葉, 江戸時代の思想家・哲学者・医者)
  • 酒飲みて歌ひ舞ひつつ遊ぶより 書(ふみ)読むこそは世に楽しけれ(本居宣長)
  • 酒をむさぼる者は、人のよそ目もみぐるしく、威儀をうしない、口のあやまり、身のあやまりありて、徳行をそこない、時日をついやし、財宝をうしない、名をけがし、家をやぶり、身をほろぼすも、多くは酒の失よりおこる。(貝原益軒)
  • 今、わが里の人を試みるに、すぐれて長命の人、十人に九人は、みな酒を飲まぬ人なり。(貝原益軒)
  • 人の病、酒によりて得る者多し。酒を多く飲みて飯を少なく食う人は命短し。(貝原益軒のことば)
  • 色と酒と欲は敵と思うべし。(水戸光圀)
  • 酒の泉はいたづらに溢れてつひに借金の淵(ふち)となる。(滝沢馬琴の言葉)
  • 口が杯(さかづき)と親しくなれば、身代は貧乏と親類となる。(滝沢馬琴の言葉)
  • 飲む人、たちまちにもの狂はしくなる故に、酒の名を狂薬と言ふ。またこれによりて禍ひ出来る故に、禍泉とも名づく。めでたしと見る人すら、酔ひぬれば本性暗み、或ひは妄行の端となりて、あさましき事どもあり。(中村タ斎の言葉, 江戸時代の儒者)
  • 酒を飲んで温克なる者は、千百人中の一人にて、先は傲慢の態を生じ、怠惰の念を発し、紛争を起こし、凌犯を生じ、奢侈無用の費を為し、種々の悪行、これよりして出づ。内は身の病を生じて生命を失ひ、外は言行に過失を生じて身家を亡ぼす。酒禍の大なる、天下を亡ぼすに至れり(儒学者 太田錦城の言葉)
  • 盃に向へば変る心かな(謡曲「紅葉狩」)
  • 禁酒して 愁ひ忘れた 泣上戸(凌雨の俳句)
  • われ酒を飲まざれば業を廃せず。業を廃せざれば徳進む。われ酒を飲まざれば驕奢ならず。驕奢ならざれば徳進む。われ酒を飲まざれば慢心生ぜず、淫心生ぜずして徳進む。驕奢慢淫、日に生ぜばわれ如何(いか)にして人たるを得んや。(春日潜庵, 幕末から明治初期の地下人, 儒学者, 政治家)
  • 酒飲みは奴豆腐にさも似たり、はじめ四角であとはぐずぐず(蜀山人)
  • 今回の事は義挙なり。ゆえにもっとも暴虐放恣の行いを戒しむ。飲酒はよりて厳禁する所たり。もし命に違うて酒杯を手にする者は共に軍律に問うべし。(西郷隆盛の最後の厳命)
  • 酒は意志の力を弱める。忍耐力を弱める。偽りを言わす。良心の力を鈍くする。礼儀を失わせる。(小室篤次「禁酒之友」, 明治37年刊)
  • 日本禁酒界の三名士とは誰ぞ。日本禁酒同盟会遊説員・美山貫一君、衆議院議員・根本正君、日本禁酒同盟会会長・安藤太郎君。以上三名である。(小室篤次「禁酒之友」, 明治37年刊)
  • 酒狂はすべて人の温雅なる気風を奪い、物事に粗暴ならしめ、ついには罪を犯さしむるに至るものなり。(関以雄編「学校衛生講話材料」明治34年7月刊)
  • (酒害者は)負債はかさみ義理を欠き卑劣の行い多くなり信を失い友離れ兄弟親子に見離され頼る同族(やから)も尽き果てむ(七五調の歌, 上田定次郎「修養断片」明治42年3月刊)
  • 飲酒は、一迅去って帰来せざる風の如く、無意味、殺風気に滅了すること多し。華麗を先頭に衒らし凄惨を後に残す。この妖酒氾濫して商業界を幻惑しつつあり。津々として幾多の頭脳を浸潤しつつあり。(山本邦之介「理想的会社員」, 明治36年刊)
  • 飲酒は人の口を魚にし、その腹を豚にし、その頭を驢馬にす。理性は遅鈍となり、良心は麻痺せられ、品行は破壊せらる。酒盃は実に砲弾よりも多くの人を殺し、或いはこれを病魔の捕虜とならしむ。(成瀬正弘編『西洋古今名訓逸話集』明治39年)
  • 罪を犯さんがために酒を飲む者、飲んだがために罪を犯す者、また飲まんがために罪を犯す者等、酒を中心として、これに溺れ、これに狂い、これに誘われて、罪を犯すに到る者が頗る多い。(沢柳政太郎『禁酒読本』昭和3年)
  • 酒は知識を殺いで理解力を失わしむる。(大沢謙二「通俗酒害新説」明治43年)
  • 酒は徳義を減却して粗暴不徳の行いを為さしむる。酒は内にありては家政を乱し、外に出でては風俗を破る。酒は他人に危害を加え、自殺を促し、その他の災害を醸(かも)す。(大沢謙二「通俗酒害新説」明治43年)
  • 酒は個々の身体を悪くして病気に罹り易くし、かつ一旦罹りたる病気を治し難くする。寿命を短縮する。酒は生殖の力を衰えさせて産児の数を減ずる。(大沢謙二「通俗酒害新説」明治43年)
  • 酒は病院、孤児院、監獄等を繁昌(はんじょう)させ、国家の費途を危うからしめる。(大沢謙二「通俗酒害新説」明治43年)
  • 禁酒赤面の患ひなし/酒で借金やめれば貯金/一滴の酒も遂に身を流す/酒は命を飲む/飲酒の始めは身の終わり/犯罪の裏には酒あり/盃(さかづき)を握る手は不運を握る/禁酒は貯金の友/一滴の酒男を飲む/後悔の前に禁酒を置け。(「禁酒標語」、小倉鏗爾『労働家の道』大正11年刊より)
  • 人間と約束禁酒駄目ならば 神と仏に約束をする(明治・大正時代の昆虫学者、名和靖の歌)
  • 酒止めてちょうど十年となりにけり 飲みし昔は地獄にぞある(明治・大正時代の昆虫学者、名和靖の歌)
  • 酒飲みし昔思えば地獄なり 飲まぬ今日極楽である(明治・大正時代の昆虫学者、名和靖の歌)
  • 実地に学理 愛と汗 最後の勝利 胸に秘め 堅忍不抜 奮闘の かなたに理想の 住み家あり われらに非常の 秋(とき)来たる どうして酒など のまれよか(明治〜昭和期の労働運動家, 日本海員組合初代組会長, 楢崎猪太郎の作, 七五調の歌)
  • 励め勤しめ 真剣に 克己鍛錬 愛と汗 堅忍不抜 奮闘の われらに最後の 勝利あり 祖国未曾有の 非常時に どうして酒など のまれよか(「海の聖者」と言われた楢崎猪太郎の作, 七五調の歌)
  • 酒はあらゆる罪悪の種子である。あらゆる失敗頓挫の母である。古往今来、酒の為に身をあやまり、家を破り、国を滅ぼした例証はいくらでもある。日々の三面記事の多くは、酒に起因した出来事が多い。刃傷事件、詐欺、窃盗、皆その背後には酒が潜んでいる。(多田恵一「傷痕」, 大正4年刊)
  • 酒狂はすべて、人の温雅なる気風を奪い、物事に粗暴ならしめ、ついには罪を犯さしむるに至るものなり。(「学校衛生講話材料」関以雄編, 明治34年)
  • 酒というものは大変な悪いもので、そのために身を亡ぼし、家を亡ぼし、国を亡ぼすものである。(明治期の啓蒙思想家・中村正直のことば, 柳原政登編「現今大家演説論集」[明治20年刊]より)
  • 酒狂は、家庭の平和を壊し、貧苦難渋を招くものなり。(「学校衛生講話材料」関以雄編・北里柴三郎閲, 明治34年)
  • 禁酒の困難なりしだけ、その結果は頗る大なるものあり。(中島気崢「禁酒禁煙の五年間」明治39年刊より)
  • 飲酒者の特に陋(ろう=いやしいこと、みにくいこと)なるは人に向て暗に饗応を促すにあり。たとへ口外せざるも心中に欲望を抱くは免れざる所、乞丐(きっかい=乞食)と択(えら)ぶ所無きなり。(中島気崢「禁酒禁煙の五年間」明治39年刊より)
  • 飲酒者の陋(ろう=いやしいこと、みにくいこと)なるは飲酒のために必要事務を等閑(=なおざり)にするにあり。甚だしきは一切これを忘却す。予はかつて酒に耽りて公開演説を流会せしめ因(よっ)て大々的に攻撃を被りたることあり。(中島気崢「禁酒禁煙の五年間」明治39年刊より)
  • 禁酒の効果として一家の平和を挙ぐるは甚だ有益の事なり。世間の飲酒者は大概これがため財を散じ、女色に耽り、かつ酔狂乱暴するを以て往々一家の平和を害し、妻子眷属をして憂悶に堪えざらしむ。(中島気崢「禁酒禁煙の五年間」明治39年刊より)
  • 飲酒は実に人をして狂惑せしめ、その情識を奪ふて軌道の外に奔逸せしむ。故に飲酒者は酔中に乱行し、醒後に懺悔し、さらに良心をくらますに酒を以てす。(中島気崢「禁酒禁煙の五年間」明治39年刊より)
  • 酒は飲んで悪い。飲まして善くない。生命が短くなる。金が費える。品行が悪くなる。親は泣く。児は飢える。家庭は滅びる。智者は愚者となり、君子は小人となる。きまりきったこと、しかも知る人が少ない。知らせる者が乏しい。(小室篤次「禁酒之友」, 明治37年刊)
  • 飲酒の嗜好は、浪費、怠惰、奢侈の第一歩にして最も危険なる習慣なり。(蘆川忠雄「勤倹の実践」明治44年)
  • 飲酒は人の口を魚にし、その腹を豚にし、その頭を驢馬にする。理性は遅鈍となり、良心は麻痺され、品行は破壊される。盃は実に砲弾よりも多くの人を殺し、あるいはこれを病魔の捕虜とした。これを害毒と言わずして、何を害毒と言おうか。(成瀬正弘「西洋古今名訓逸話集」[明治39年]より)
  • 酒を飲み勇気百倍するの感あるは、これ虚性の勇気にして真性の勇気にあらず。ただ匹夫の勇を鼓舞するものにして思慮ある勇気を鼓舞するにあらず。精神は常に錯乱し、身体は疲労しやすく、イザ鎌倉という場合には何の益(やく)にも立たず。(松下禎二「衛生百話」1920年刊)
  • 脳神経を麻痺せしめ、知識記憶を減殺し、道徳心を滅亡し、不徳粗暴を振りまいて、人に擯斥(ひんせき)受くるなり。(「酒害の歌」(七五調)、上田定次郎著「修養断片」明治42年刊より)
  • 我がまま遊惰が募り来て、忍耐出精の心失せ、何の仕事も手につかず、家庭を紊(みだ)すその果ては、貧の苦痛(なやみ)に責めらるる。(「酒害の歌」(七五調)、上田定次郎著「修養断片」明治42年刊より)
  • 負債はかさみ義理を欠き、卑劣の行い多くなり、信を失い友離れ、兄弟親子に見離され、たよる同族(やから)も尽き果てむ。(「酒害の歌」(七五調)、上田定次郎著「修養断片」明治42年刊より)
  • 酒を止める秘訣は酒を超越することです。酒を馬鹿にするのです。自分というものと酒というものとは全然関係のないものと見得る信念。酒を自己の観念外に置く。路傍の石ころと同視するのです。(藤井計祐「禁酒禁煙の秘訣」昭和2年)
  • 酒を止める秘訣は酒を超越することです。酒というものが毒であろうと、薬であろうと、害になろうと、ためになるまいと、そんなことはてんで問題にしないのです。超然として酒を自分と関係のないものにしてしまうのです。禁酒でなくて超酒です。(藤井計祐「禁酒禁煙の秘訣」昭和2年)
  • 酒ハ酔ウタメノモノデス。ホカニ功徳ハアリマセヌ。(太宰治)
  • 酒と煙草とを用いなかった事は私の健康に対して、どれほど仕合せであったかと今日大いに悦んでいる次第です。故に八十六のこの歳になっても少しも手が顫わなく、字を書いても若々しく見え、敢て老人めいた枯れた字体にはならないのです。(牧野富太郎「自叙伝」)
  • 同宿の人が語る。『酒は肥える、焼酎は痩せる』彼もまたアル中患者だ。アルコールで自分をカモフラージしなくては生きてゆけない不幸な人間だ。(種田山頭火「行乞記」)
  • もし、もしも私が酒を飲まないならば、こうまで酒に強くないならば、私はどんなに安心だろう、いや、私は良すぎるだろう、いやいや、私は幸福すぎるだろう!(種田山頭火「其中日記」)
  • いくたびか やめんと誓ひ いくたびか 死なうと思ひ アル中になる(種田山頭火「其中日記」)
  • まるで地獄だつた。酔うては彷徨し、さめては慟哭した、自己冒涜と自己呵責との連続であつた。(種田山頭火「其中日記」)
  • 意志の弱さ、酒の強さ――ああこれが私の致命傷だ。(種田山頭火「其中日記」)
  • 酒は飲むだけ不幸で、飲まないだけ幸福だ。一合の幸福はとかく一升の不幸となりがちだ。(種田山頭火「行乞記」)
  • しめやかな雨となった、よい雨だが屋根が漏ることはうるさい。あたたかい夜だったがねむれない、酒気が切れたからだろう。いよいよアル中患者だ、私も俳人から廃人になりつつあるのだろう!(種田山頭火「其中日記」)
  • 私はハシゴだ、飲みだしたら次から次へと飲み歩いて、泥酔するまで飲みつづける、ぐでんぐでんの老いぼれはおよそ愚劣の愚劣の愚劣だ!(種田山頭火「其中日記」)
  • 身心沈欝、自責の念堪えがたし。自粛の実行によってのみ私は救われる、最初に、そして最後まで酒を克服せよ、頃日来の醜態はただ酒ゆえではないか。(種田山頭火「其中日記」)
  • 酒が飲みたくなくなった、そして飲まずにはいられない、地獄である。今夜も地獄の亡者として、酔うて歩いた、辛うじて戻って寝た。味わう酒でなければならないのに酔いたい酒なのだ、それはまったく致命的な酒である。(種田山頭火「其中日記」)
  • 私がもしも、もしもだが、酒をやめることが出来たら私はどんなにやすらかになるだろう、第一、物質的に助かる、食うや食わずのその日ぐらしから救われる、赤字のなやみ、借金のせつなさがうすらぎ、つまらない苦労がなくなる。(種田山頭火「其中日記」)
  • 酒!ああ酒のためだ、酒が悪いのではない、私が善くないのだ、酒に飲まれるほど弱い私よ、呪われてあれ!肉体的にはとうとう吐血した、精神的には自殺に面して悩み苦しんだ。(種田山頭火「其中日記」)
  • 酔うために飲む酒だから、酔後の行状が言語道断は申すまでもなく、さめれば鬱々(うつうつ)として悔恨の臍(ほぞ)をかむこと、これはあらゆる酒飲みの通弊で、思うに、酔っ払った悦楽の時間よりも醒めて苦痛の時間の方がたしかに長い(坂口安吾「酒のあとさき」)
  • 牧野信一は酔うと意地わるになるし、小林秀雄、河上徹太郎はカラミの大家。中原中也のように酒がないと生気のないのもいるし、私はツキアイにムリに酔う必要があったが、実は当時から今もって酒の味は大キライだ。(坂口安吾「人生三つの愉しみ」)
  • 田中英光はムチャクチャで、催眠剤を、はじめから、ねむるためではなく、酒の酔いを早く利かせるために用いていた。あれぐらいの大酒飲みは、いくら稼いでも飲み代に足りないから、いかにして早く酔うかという研究が人生の大事となるのである。(自殺した田中を回顧した坂口安吾の文章)
  • 酒を呑まなければ相談がまとまらないやうなそんな愚劣な相談ならばもうはじめからしないがいい(宮沢賢治「藤根禁酒会へ贈る」)
  • 酒を呑まなければ人中でものを云へないやうなそんな卑怯な人間などはもう一ぴきも用はない(宮沢賢治「藤根禁酒会へ贈る」)
  • 一時間酒が切れると、すぐ手がふるえ、舌が痺れる、よるべないその頃のアル中の私、重ねて言うが、明日の知れない人生、いとも暗澹(あんたん)のその頃の「私」だったのだった。(正岡容「寄席囃子」)
  • 今まで自分のして来たことで多少とも眼だつものは矢張り歌を作つて来た事だけの様である。いま一つ、出鱈目に酒を飲んで来た事。(若山牧水「酒と歌」)
  • 憎い酒であり、野蛮な酒でありますが、決して酒に罪があるのではありません。ひとえに小生の酩酊振りが悪く、憎く、そして極めて野卑であるばかりなのだ。ああ小生は常に悪酔の失策と後悔に身をやかれ、生活の軒を傾け、やがては自堕落の淵にめり込むやも知れません。(牧野信一「僕の酒」)
  • 酒はあらゆる罪悪の種子である。あらゆる失敗頓挫の母である。古往今来、酒のために身をあやまり、家を破り、国を亡ぼした例証は、いくらでもある。(多田恵一『傷痕』大正4年, 白瀬南極探検隊で白瀬の片腕をつとめた探検家)
  • 刃傷事件、詐欺、窃盗、皆その背後には酒が潜んでいる。恐るべきは酒の害毒である。いましむべきは酒の危険である。(多田恵一『傷痕』大正4年, 白瀬南極探検隊で白瀬の片腕をつとめた探検家)
  • 私の酒に耽溺した経路は、おのづから二様に分かれて居る。一つは順境の時の浮かれ酒、一つは逆境の際の自棄(やけ)酒、これである。想ふに世の多くの人が、酒に耽溺するに至るのも、要するにこの二つの経路であらう。(多田恵一『傷痕』大正4年, 白瀬南極探検隊の一人)
  • 酒と云ふものは、煙草と同じく毒になっても薬にはならぬ。酒は如何なる場合に於ても人体に有利・有益なるものではなく、一滴の酒と雖(いへど)も人体の健康に有害なるものである。(安田善次郎『金の世の中』大正8年)
  • 恐るべき破壊力をもつた酒を、好きであるとか、習慣で止められないからとか、酔つた気持がよいからとか云つて、毎日飲んで居るのは、つまり自分で自分の健康を害し、自分の寿命を縮めて居るやうなものである。(安田善次郎『金の世の中』大正8年)
  • 「百薬の長」とか「憂を払ふ玉箒」とか云ふ語は、酒飲みの負けおしみの勝手な屁理屈で、酒は亡身・亡家・亡国の恐るべき忌むべき毒水であり、憂を作り罪悪を作る魔水であり、その害毒の恐るべき事は、洪水や津波どころの及ぶべきところではない。(安田善次郎『金の世の中』大正8年)
  • 酒害者は酒のため墓場へ行くか、断酒会で酒を断つか二つの道しかない。(断酒会の生みの親、松村春繁氏のことば)
  • 酒の奴隷になるな。(断酒会の生みの親、松村春繁氏のことば)
  • 私の屍を乗り越えて断酒会を益々発展させて下さい。(断酒会の生みの親、松村春繁氏のことば)
  • 酒害者に対する奉仕は自分の断酒の糧である。(断酒会の生みの親、松村春繁氏のことば)
  • 最初の一杯に口をつけないこと。(断酒会の生みの親、松村春繁氏の言葉)
  • 条件をつけて断酒するな。(断酒会の生みの親、松村春繁氏の言葉)
  • 節酒は出来ないが、断酒は出来る。(断酒会の生みの親、松村春繁氏の言葉)
  • 今日一日だけ止めよう。そして、その一日一日を積み重ねよう。(断酒会の生みの親、松村春繁氏の言葉)
  • 他力による断酒ではなく、自力、自覚の上に立つ断酒であること。(断酒会の生みの親、松村春繁氏の言葉)
  • 酒害者の最大の敵は、自分自身であり、酒ではない。(断酒会の生みの親、松村春繁氏の言葉)
  • かつて初めて向陵の人となり今村先生に醇々として飲酒の戒を聞いたその夜、紛々たる酒気と囂々たる騒擾とをもって眠りを驚かす一群を見て嫌悪の念に堪えなかった。ああ暴飲と狂跳!人はこれを充実せる元気の発露と言う。吾人は最も下劣なる肉的執着の表現と呼ぶをはばからぬ。(和辻哲郎)
  • 病をば招きこそすれ養生は 名のみなりけり酒は魔のもの(禁酒短歌, 医師・片山國嘉)
  • アルコールにせよ、パチンコにせよ、ネットゲームにせよ、実は怖いものだという認識をもつことが大切だし、やめられるものなら完全にやめる、そうでないなら、依存症になる前にある一定以上はやらないというラインを決めておくことが大切だ。(精神科医, 和田秀樹氏の言葉)
  • 多くの国民が依存症になることを顧慮せずに、自分たちの年収1500万円の維持のために、依存性の高いものの広告でぼろ儲けをするテレビ局に人の命の大切さなど論じる資格はない(精神科医・和田秀樹先生の言葉)
  • (テレビ局は)諸外国で禁止されているアルコールのCMをやめないくせに、飲酒運転を批判する資格があるとは思えない。(精神科医・和田秀樹先生の言葉)
  • (日本では)依存症になるのは自己責任という認識があるので、アルコールやパチンコのCMが公然と流される。ほかの先進国では、依存性の高いものについて広告を流すことが依存症を生むということがコンセンサスになっているから、禁止されたり、厳しい規制があったりするのだ。(精神科医, 和田秀樹氏の言葉)
  • 私から言わせてもらうと、アルコールなどは“依存症ビジネス”です。景気が悪くても、どんなに金がなくても、それに依存している人は金を使う。(精神科医・和田秀樹先生のことば)
  • 日本では依存症が病気だと思われてないし、よっぽど気をつけてないと怖いと思いますよ。だから僕、ほんとは、子供の保健体育の時間に、ちゃんと教えるべきだと思ってるんです。(精神科医・和田秀樹先生のことば)
  • まず依存症の治療をしないことには、いくら罪を重くしたところで、飲酒運転は減らないんですよ。(精神科医・和田秀樹先生のことば)
  • まず一日断酒する。それを出来るだけ続ける。完全断酒なんて遠い先のことを考えず、とりあえず今はやめる、ということで良い。(なだいなだ)
  • 「適量」という言葉に患者はだまされやすい。(なだいなだ)
  • 「また酒を飲んでしまいました。」――このような発言は実は回復の第一歩なのです。(加藤純二医師)
  • 「いつまた酒を飲むかわかりません。」――聞く方にとっては何となく不安な発言ですが、このような発言も断酒と回復を示すサインだと思います。(加藤純二医師)
  • 「断酒を続ける自信がありません。」――正直な言葉で、このようなことをいう人が案外と断酒会と縁を結んで、見違えるような変化を遂げます。不思議なことですが、「もうきっぱり止めました」とか、「断酒の自信があります」とか、「飲みたいという気持ちがおこりません」などと言う人に限って断酒は長続きしません。(加藤純二医師)
  • フランスでは1992年から、アルコールの総消費量の抑制に政策を転換しています。それでフランスのワイン業界は輸出に積極的になっており、その標的が日本であると言われています。(加藤純二医師)
  • 「酒に強くなった」ことは決して自慢にはならない。これは明らかに一つの警告である、この警告に盲目になったとき、アルコール依存症はすでに出発を開始している。(西郊文夫著「アルコール依存症、ある医師の歩いた道」より)
  • 一日を確実に飲まないで過ごすことが一日断酒であり、その繰り返しが永久断酒につながる秘訣なのである。「生涯断酒」ほど空虚な言葉はない。(西郊文夫著「アルコール依存症、ある医師の歩いた道」より)
  • 「酒乱」遺伝子を持っていて、かつ「下戸」遺伝子を持っていない人、それが酒乱になるための必要条件です。この条件には、なんと日本人の六分の一が該当するのです。(『酒乱になる人、ならない人』眞先敏弘, 医師)
  • アル中になるのは、酒を「道具」として考える人間だ。おれもまさにそうだった。この世からどこか別の所へ運ばれていくためのツール、薬理としてのアルコールを選んだ人間がアル中になる。(中島らも「今夜すべてのバーで」)
  • とにもかくにも、おれは酩酊の手段としてアルコールを選んだ。日本に生まれて、それが一番法的に安全で廉価なドラッグだったからだ。(中島らも「今夜すべてのバーで」)
  • 家族の方はもういちどだけ最後の力をだして専門医のところへ。そして正しい知識を。家族が憎みあわないために。(西原理恵子「おサケについてのまじめな話」)
  • (アルコール依存症の人は)何十年断酒していようと、一度飲んでしまえば、元の木阿弥。いずれは内臓のどこか、あるいは脳を侵され、廃人になるか死に至ります。(吾妻ひでお「アル中病棟」)
  • こんな自分を少しでも、皆さんに笑ってもらえるように漫画にして描くことが、私の治療になってるのかもしれません。(吾妻ひでお「アル中病棟」)
  • 昔はほんとに飲兵衛で。飲み始めたのは30歳からなんですけど。50歳でやめたの。20年間でぴったりおしまい。50歳になった時に、ふと「こういうことをしてたら私はダメになるな」と思ったんです。(五月みどりさんの言葉)
  • 得てしてミュージシャンってのは残念ながらだらしない人間が多い。金や女、酒や薬に溺れてしまう奴も少なくない。僕から言わせれば、薬や酒に填(は)まってしまう人間は二流だ。人前に出る仕事や立場で、少なくともファンに大きな影響を与える者が、薬や酒に溺れるって...(GACKTさんの言葉)

海外
  • 酒を飲むのは世間の習慣であって、私の習慣ではありません。(エピクテトス, 古代ギリシアの哲学者)
  • 後世、必ず酒を以てその国を滅ぼす者あり。(中国古代の伝説の聖王、禹の言葉)
  • アルコール類は私には害になる。日に一杯のワインかビールを飲むだけで、私の人生を「涙の谷」と化してしまうのに十分である。(フィリードリヒ・ニーチェ)
  • この世に酒屋のあるかぎり、監獄に囚人のいなくなることはない。(ジョン・ハワード)
  • 禹は、旨酒を悪んで善言を好む。(古代の聖王禹は、美酒をにくんで善言を好んだ)(孟子)
  • 酒きわまれば、人すなわち乱る。(司馬遷「史記」)
  • 酒は礼に始まり、乱に終わる。(荘周)
  • 刀をぬいて水を断(き)れば水さらに流る。盃を挙げて愁(うれい)を銷(け)せば、愁さらに愁ふ。(李白)
  • 酒は人を魅する悪魔である。美味い毒薬である。心地良い罪悪である。(アウグスティヌス、古代キリスト教の神学者)
  • (飲酒という)下等なる歓楽にふける者は、真正の福祉を失い、徳善の行を損じ、剛毅の志を失い、健康の身体を害す。まことにおそるべくして戒(いさ)むべし。(サミュエル・スマイルズ「西洋品行論」)
  • 酒樓(酒を出す料理屋)は監獄の門戸なり。すべての人ことごとくこの門より入る。(パウエル)
  • 飲酒欲は漸次増長の恐れあると共に、人をして己に克つところの力を失わしむ。世に「一杯は人が酒を飲み、二杯は酒が酒を飲み、三杯は酒が人を飲む」という諺あるは無理ならぬことなり。(フランシス・ウィラードの言葉)
  • 酒害者の生涯の第一章は、「止めたければ止められたのに」という後悔史、第二章は「止めたくても止められない」という困難史である。(フランシス・ウィラードの言葉)
  • 習慣力は殆ど無限である。意志の力もこれには及ばない。世の中で、酒が無くて害を受けた人は皆無であるけれども、酒を止めて大いなる益を受けた人は多い。だから自己は自己の良友、又は後見人として、酒を避けるべき義務があるのである。(フランシス・ウィラードの言葉)
  • 酒に酔う者は土左衛門のようで、痴人のようで、また狂人のようである。一口過ごせば痴人となり、二口過ごせば狂人となり、三口過ごせば水におぼれて土左衛門。(シェークスピア)
  • ああ、自分の脳味噌を盗ませるために口の中に敵を入れる人間があるとは!(シェイクスピア)
  • この世に行われる一切の犯罪を合わせても、酒に酔うことくらい多くの人間を殺し、また多くの貧窮を作り出すものは無い。(フランシス・ベーコン)
  • 毒薬であるアルコールの有する効力は、ただ無知な社会の舌を軽くするにある。(クレペリン)
  • 酒屋はフランスにおいて貧民を造る学校であり、その礼拝堂である。そこにおいては、窃盗は財産に関する道徳として教えられ、虚言は雄弁として教えられ、暗殺は人民の正義として教えられるのである。(チャールズ・ディケンズ)
  • 酩酊は一時の発狂である。(ピタゴラス)
  • 酒を口に入れる者は、舌を弄(ろう)す。舌を弄する者は、その身を棄てる。(管仲)
  • 酒は悪魔の血なり。(マネス)
  • もし節酒することが出来なければ、禁戒して飲むことなかれ。(サミュエル・スマイルズ, Samuel Smiles)
  • 地獄の写真が見たければ、飲酒家の家を覗け。(ムーディの言葉)
  • 酒は何も発明しない。ただ秘密をしゃべるだけである。(シラー、ドイツの詩人)
  • 犯罪者、いかがわしい場所に出入りする男、不倫に走る婦人も、故意に良心の声を止める為に、麻酔物である酒に頼る。しかし、良心の声を抑えることは、非常に恐ろしいことなのである。(トルストイ)
  • 人はシラフでいるときは、娼婦の後を追うことを恥じ、盗むことを恥じ、殺すことを恥じるが、酔っぱらった人間は、何も恥じない。故にもし人が良心の咎めるような事を為そうと欲するなら、彼は先ず、酒を飲んで良心を麻痺させる。良心の声を止めることが、人々の知る酒の効能なのだ。(トルストイ)
  • 戦争と、疫病と、饑饉と、この三つのものを合わせても、酒ほどに人の命を奪うものは無い。(ウィリアム・グラッドストン)
  • 人は居場所がないと感じると、精神を病んだり、アルコールに溺れたりする。だったら他者に貢献することで、居場所を確保すればいい。(アルフレッド・アドラー)
  • 自分の身体をいたわりなさい。身体こそがあなたの暮らさなければならない唯一の場所なのだから。(ジム・ローンの言葉, アメリカの成功哲学作家)
  • 問題を抱えた人の多くは、恐怖を忘れるためにアルコールに逃げる。しかしアルコールに逃げても、本当の解決は得られない。恐怖を忘れられるのはほんの一瞬だ。現にアメリカの開拓時代、ウィスキーは”偽物の勇気”と呼ばれていた。(S.チャンドラー, 米国の作家、講演家、経営コンサルタント)
  • 私は、アルコールがあれば理想の自分になれるということを、自らの経験から見つけた。しかし、このすばらしい発見は”偽物の勇気”だった。たしかに最初は楽しかったが、すぐに耐えられない悪夢になった。(S.チャンドラーの言葉, 米国の作家、講演家、経営コンサルタント)
  • 「私は、1, 2杯の酒で満足できる人間ではなく、倒れるまで飲まずにはいられないタイプだった。物事が悪くなるとさらに飲んでしまった」(元サッカーブラジル代表DF, シシーニョ)
  • こういうことさ。つまり選択肢は3つしかない。そのまま狂うか、死ぬか、断酒するかだ。(メル・ギブソン)
  • 昔は周りの人に馴染むためにお酒を飲んだり、夜遊びしたりしていた。でも自分は違うってことに気付いたの。だから今はそういうことにもう興味がないのよ。(ルーシー・ヘイル)
  • お酒は飲まないわ。お酒とかドラッグとか、私にはそういう欲望はないの。(ブレイク・ライブリー)

格言・ことわざ等
  • バッカス(酒の神)はネプチューン(海の神)よりも多くの者を溺死させた。(ローマのことわざ)
  • 酒は内応者(スパイ)のようなものである。初めのうちは友となって、後には敵となる。(ことわざ)
  • 酒が内に入れば、智恵は外に出る。(ことわざ)
  • 大酒遊芸は貧乏神のお祭り。(ことわざ)
  • 酒と朝寝は貧乏の近道。(ことわざ)
  • Drunkenness is a voluntary madness.(酒は気違い水)
  • 酔って狂乱、醒(さ)めて後悔。(ドイツの諺)
  • Bacchus kills more Mars. 酒の神は戦争の神より、沢山の人を殺す。(ことわざ)
  • 酒極まって、乱となる。(ことわざ)
  • 酔いて狂言、醒めて後悔。(ことわざ)
  • ワインがはいると機智が無くなる。(イタリアのことわざ)
  • Life is not all beer and skittles. 人生はビールとボーリング遊びだけではない。(格言)
  • 本心酒中に沈めば、狂言盃上に浮かぶ。(ことわざ)
  • 酒による友情は、酒の如くただ一夜限りである。(ドイツのことわざ)
  • 水におぼれるより、酒におぼれる者の方が多い。(ことわざ)
  • 人が酒色を愛すると、火に誘われる夏虫と同じ運命に陥る。(格言)
  • 禁酒は最良の薬剤なり。(格言)
  • 口が杯(さかづき)と親しくなれば、身代(しんだい)は貧乏と親類になる。(格言)
  • 酒の泉は溢れて末に借金の淵となる。(格言)
  • 喰ひ飲みが悪しき友呼ぶ根となりて色や博打の花実咲かせる(禁酒の歌)
  • もし酒を断つ法を求めるならば、醒めた眼で酔った人を観よ。(格言)
  • さけといふことばの如くさけよかし よいとてのめばよいよいになる(禁酒の歌)
  • 飲酒の習慣を身につけると、しばしば一晩で1エーカーの土地が買える値を飲んでしまう。(西洋のことわざ)
  • He that goes to bed thirsty rises healthy. 喉を渇かして寝る(=酒を飲まずに寝る)と人は健康に起きられる。(西洋のことわざ)
  • 小原庄助さん なんで身上つぶした 朝寝朝酒朝湯が大好きで それで身上つぶした ああもっともだもっともだ(民謡「会津磐梯山」)
  • 酒を醸(かも)すに多くの面倒は要せされども、酒は多くの面倒を醸す。(西洋のことわざ)
  • 酒は背信家だ。初めのうちは友人だが、すぐに敵となる。(西洋格言)
  • のけて通せ酒の酔。(格言)
  • 酒は三界の首かせ(断酒ことわざ)
  • 苦しいときの酒頼み(断酒ことわざ)
  • 酒精は虎よりも猛し(断酒ことわざ)
  • 酒飲みの妻子は涙を飲む。(禁酒標語)
  • 酒で借金、やめたら貯金。(禁酒標語)
  • 酒の池に泳ぐ術なし。(禁酒標語)
  • 飲酒の始めは身の終わり。(禁酒標語)
  • 盃を握る手は不運を握る。(禁酒標語)
  • 成らぬ禁酒、するが禁酒。(禁酒標語)
  • 大ジョッキ勢いあまって前歯欠け(断酒川柳)
  • 健康を気にする口が酒を飲み(断酒川柳)
  • 酒飲んで肝臓はれて憂さはれず(断酒川柳)
  • 脂肪肝もっと飲んだら死亡漢(断酒川柳)
  • 信用も名誉も酒で露と消え(断酒川柳)
  • 誇るなら飲めることより飲まぬこと(断酒川柳)
  • 酒飲んで仕事嫌ひの朝寝好き心安さに定宿にする(貧乏神が詠んだとされる歌)
  • おなさけは仏の道よおんなさけ これは地獄の近道と知れ(道歌)
  • あざみ草その身の針を知らずして 花と思ひしけふの今迄(道歌)
  • 色と酒利欲に己(おの)が目も見えず うかうかはまる借銭の淵(禁酒短歌)
  • ごまかしも長く続かず観念し 生命(いのち)欲しさにああ精神科(断酒短歌)
  • 鬼よりもなほ恐ろしや世の中の 色と酒とを恐れざる人(断酒短歌)
  • 酒に酔いくだまく人は何事も いざ白糸のみだれ心よ(断酒短歌)
  • 酒呑みが酒に呑まれる世の習い 酒はまことにわざわいの門(断酒短歌)
  • 色におぼれ酒に乱れしそのもとは 悪しき人をば友とせし故(道歌)
  • 食い飲みが悪き友よぶ根となりて 色や博打の花を咲かせる(道歌)
  • 断酒会たずねてみれば皆笑顔すぐ来て良かった明るい未来(断酒短歌)
  • アル中は信用軽く気は重く 家族泣かせて我が身堕地獄(断酒短歌)
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